Net Exhibition “BOOK HOUSE”
2005.11.26 / 第1回プレゼン

設計依頼から約1ヶ月の時間をかけて、第1案が完成した。
メールのやり取りで時間を決めて、第1回目のプレゼンテーションを行なった。
さて反応は・・・。
建築家1のコメント
クライアントからの要望と、それらをファイル(図面入手ークライアントのファイル参照)にまとめたものを元にテーマを決める。

ちなみにクライアントからの要望をまとめた「ファイル」の発端は「キッチンハウス」のクライアントだ。
元々好きなものをファイリングしていて(それも好きなこと)、設計の依頼に来たときはA4の厚さ3cmのファイルに雑誌の切り抜きやイメージスケッチ、日常の過ごし方を文章や絵にまとめたものをいただいた。

その後「k-pod」のクライアントが「どうやってイメージを伝えたらいいか。」
という話になったので「例えばこんな方法がありますよ。」程度でお話をしたら、またも分かりやすい「ファイル」を渡された。

そして今回のクライアントに「k-pod」ファイルを見せたら、このようなファイル...だけではなくエッセイまでいただいた。
これがまた素晴らしい!文章の構成・表現だけではなく二人の歴史が見えた。
(ちなみにみなさんファイルを作って下さいということではないです。)

その中で気になったこと。
「二人の家づくりに至るまでの経過=家に対する思い」と共通項である「本」だった。
建築家2が言い出した。「テーマは本だ。タイトルはBOOK HOUSEだよ。」
それを元にプランが作られた。

建築家2の作ったプランを元に本棚の設置場所・それによる間取りの考え方等二人で検討しあった。それなりにまとまって見せ場も作られた。
良いのだけど何だろう。何かが足りないような...。
建築家2のコメント
クライアントから頂いた要望書やエッセイ、今までの打合せから、この住宅に対するキーワードが浮かびました。それは「本」です。

なぜなら、これがクライアント夫妻の特殊な共通事項だと読み取ったからです。
単に量が多いと言うだけではなく、生活の場と「本」がとても密接な関係にあると考え、プランを進めるにあたって、それを念頭にして考えていきました。

もう一つ重要なのは、空間構成です。耐震壁によって分断された3つのスペースにどう関係性を持たせるか?これが一番難しい。
そして導き出した答えは、本棚を3つのスペースに分散させる方法です。これによって、生活に密接した「本」の場所が家全体に分散されるので、分断された空間がつなぎとめられると考えた。

しかし、結果としては浴室以外はかなり常識的なプランになった気がする。
クライアント1のコメント
待望の基本設計ができたとのご連絡をいただき、14時から打ち合わせ。

図面の説明もそこそこに、やってきました1/30模型がドーンと。これがあのノートから生まれた僕たちの家かと思うと評価云々よりも感動ひとしおです。天井はずして上から見て、バルコニー側から覗いて、東側から見てと、あっちこっち歩き回りながら、うんうん唸りながら、見てしまいましたよ。恐らく変な光景だったことでしょう。

とにかく本棚です。居間、台所、廊下、玄関とほぼすべてに格子状の棚がガラスブロックのようにあります。恐らくポスターは全壁に2枚もはることができないでしょう(はりたいと言ってる訳ではありませんけど)。図面には○○邸リフォームではなく、「Book House」と書いてありました。僕が想像していた、Book + Wood(y) + Buddha = buddy House にコンセプト的に似ていなくはありません。僕のは借景を取り入れた三位一体ですけど。Buddhaはともかくwoodyはかなり難題になりそうです。厳しい遮音等級を無垢で満たすには、床を上げるしかないらしい。勉強してみます。

あとは風呂。ありえない位置にあります。最初はそこが風呂だとは思いませんでした。なんと言うか、玄関から一番遠くて窓辺にあります。それも天井はナシ。駄目でしょう、外国人じゃないんだから。ここはつっこみどころ満載ですけど、楽しそうなので、ご提案に沿って現実的解を目指してがんばりましょう。

あとは何ですかね、台所(というか食べるところ)と勉強場所の調和、衣服収納場所の確保が適切かどうかというところでしょうか。

とにかく2時間ほど至福のときを過ごさせてもらいました。ありがとう。これから相方と二人でじっくり話し合います。ちなみにbooty house だととたんにひどい意味になりますので、お間違いなきよう。boodyでも同じ。
クライアント2のコメント
来ましたよ。第1回のプラン完成打ち合わせをお願いしますメール。

「コレだ」「かなりイケる」のoさんの言葉に、「今今今!今見たい!」と思いつつ、現実的な線でスケジュールを決める。
私たちの渡した資料から、なんとなく想像はしていたけれど。
いざ「BOOK HOUSE」と書かれた設計図を見てみると、うれしさと、晴れがましさと、面映さとで
口もとのゆるみを抑えきれない。
「BOOK HOUSEだって」「BOOK HOUSEか」「BOOK HOUSEです」「BOOK HOUSEなんです」と、4人全員となえおわったところで、さて具体的な説明です。

壁という壁に一面の本棚。天井までびっしり本棚ってのは昔からあこがれてたし、いいんじゃないの。ふむふむ。
タタミスペースは、フローリング志向とはいえ、やっぱり日本人だからぺたりと座れる場所があったらいいなという私のリクエスト。これならころころ動かして、日当たりとか、その時一番気持ちいい場所で本を読んだりくつろいだりできそう。

そして、気になる浴室。私はお風呂大好き。それも本を読みながら、ゆっくりとお風呂につかるのが大好き。1日に2時間近く、出たり入ったり浴室で過ごす。さらには昼間に入るのがいい。だからねー、「窓のある浴室」は、絶対ほしかったわけですよ。
で、浴室。おお。ヘンな場所にあるけど、変わっててよいかも。窓もあるし。ただ、上が空いているのが、長時間入っているだけに湿気の面で気になるかな。

それにしても、制約の多い中、最大限に私たちの希望をかなえようとしてくれているのがわかる設計。ありがとうございます、m+oさん。
てな具合で、たっぷり2時間。これまでの漠とした妄想ではなく、リアルな妄想にひたり、さらには模型持ち帰って週末もたっぷりとひたり。
でもでもでも。
ひたるにつれて、私たち二人の頭の中にはちょっとずつクエスチョンマークが浮かんできたのでした。
▲既存平面図
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▲第1回目のプラン
既存平面図と上下逆になってなっています。
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▲スケッチ
分断された3つの空間にどのように本棚を配置するか。また、要求された部屋をどのように配置するかを検討している。
▲プレゼン用1/30模型の残骸。
本棚やバルコニーの手摺の部品が見える中、上に乗っている大き目の部品が浴室と洗面室の部分。
第2案用の模型製作のため解体されてしまった。
▲移動タタミのスケッチ
タタミスペースがほしいというクライアント2の要望に対して、移動式タタミを提案した。
キャスターで移動するようになっているが、設置時の安定性を考慮して、反対側の足はV型にして、マガジンラック兼用とした。カップを置いたりするトレイやペン立てなどもオプションで付けられるようにし、「BOOK HOUSE」らしいアイテムだったんだけど・・・。
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▲浴室廻りのスケッチ
この計画の中で一番てこずったのが浴室。景色の良い南側の3つの窓の内、2つがリビングにとられてしまうので、残る1つの窓を浴室にすべきか寝室にすべきか悩んだ。
結果として、浴室に特別の思い入れがあるクライアント2のために、夜寝るだけの寝室を下げて浴室廻りを優先した。
それでも何とか寝室にも南からの光が入るように半透明のガラスとカーテンで仕切る計画だった。
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