Net Exhibition “BOOK HOUSE”
2006.04.29 /スケルトン見学会

「BOOK HOUSE」は4月19日にめでたく着工いたしました。

新築工事とは違って、リノベーションの場合はまず解体工事から始まります。
間仕切壁や仕上材から始まって、ユニットバス、キッチン、洗面台、照明器具など、撤去できるものは全て取ってしまいます。
1週間ほどで解体工事は完了し、構造躯体があらわになったスケルトン状態になりました。

今日はクライアントとマンション住民を対象に、その状態を見ていただこうという企画「スケルトン見学会」を開きました。

夜は、工事着工を祝して「飲み会」です。
建築家1のコメント
「スケルトン見学会」の提案をクライアントから受けました。

実は正直、半信半疑ではありました。

なぜかというと、解体撤去をする前の状況を知らずに今の何もない状態を見るというのはいかがなものなのか...???
これに興味を持って来て頂ける人はどんな人か...??

いろいろと考えた挙げ句、同じマンションの住人ならば自分の住んでいる住まいの「素」の部分はどうなのか、はたまたリフォームなどと考えている方もいるかもしれない。
(あわよくば仕事GET!とか...)
というような前向きな目的が見つかり決行です。

ということで当日、「最低1・2組くらいは来るかな?」とちょっと期待をしていたのですが...残念でした。ゼロです。
でも、クライアント2のご友人が、打合せに第三者として参加していただいたりと、なかなか面白い議論となりました。

打合せ内容は建築家2におまかせして、その夜工事契約を祝って、さぁ!飲み会です。

今回は私達のホーム、琴似にある「どらちゃん」という一見普通の居酒屋です。
食事も美味しいのですが、ここは何と言っても「日本酒」が楽しめるお店です。
お店では置いていないお酒を店主自ら地方の酒蔵にいってこれはと思うものを入手し、紹介してくれます。
「マスター!」
「あいよ!」
「お酒お願いします!。」
「これはですねぇ。秋田にある.......。」
と始まる飄々とした独特の語り口調で更にお酒の美味しさが伝わり、この店もお酒もマスターも私達のお気に入りになってしまいました。

今回はアウェーでの飲み会ということと、お好きな焼き鳥もないといことで、ちょっと気構えしていてような(?)クライアント1・2でしたが美味しいお酒と食べ物を前に、ちょっとお仕事の話からGWのことまで、楽しい夜更けとなりました。

次は竣工飲み会かしら...?
建築家2のコメント
M建設によるマンション住民へのご挨拶も済すんで、ようやく「BOOK HOUSE」が着工しました。
まずは解体工事から進んでいきますが、管理会社からの言いつけで、作業時間は8:00〜17:00まで、かつ土日祝祭日は作業中止を余儀なくされています。

今日は解体工事が終了したので、クライアントとマンション住民を対象とした「スケルトン見学会」です。
しかし、告知が悪くマンション住民は一人の参加者もいませんでした。
まあ、打ち合わせもあることですし、クライアント2の友人も参加していただいて、今後の事や浴室廻りの変更事や、本棚の材質などについて議論しましょう。

浴室については、排水の勾配を確保するため、設計よりも165ミリほど床が高くなります。
施工上の問題なので致し方ないのですが、床が上がるとスタンディングでシャワーを使うときに、頭の上に梁型が迫ってきてシャワーフックをどこに付けたらいいのだろうかとか色々議論してみましたが、とりあえず浴室のプランはOKをもらいました。高さ関係は再度チェック。

さて、もう一つ大きな議題として、今日は本棚の材質を決めなくてはなりません。
実は、M建設側から事前に中国産のアカマツ集成材なら同金額で使えると言うことで、サンプルを頂いておりました。

「建築は竣工するまで設計だ!」確か巨匠村野藤吾がこのような言葉を残しているんですが、私も師匠から同じようなことを叩き込まれていまして、「建物がよくなる方向であればどんどん変えろ!」と言うことなんですね。変えないと怒られるんですね「お前、現場に入ってから何も考えて無いだろ!」

「アカマツの集成材。」いいじゃないですか。もう一度本棚について検討できるチャンスじゃないですか。
と言うことで、「じゃあ色塗って、比較してみましょう。」
こげ茶がプライベートゾーンで白っぽい色がパブリックゾーンに使う色です。これは実施設計の段階で何となく決まっていたことなんですが、アカマツにはきれいに色が乗るんですね。。
でも、ラワン積層合板は、表面が赤味がかっていて、白が出ないんですね。。
素材自体の面白さは断然ラワン積層合板なんだけど、色が乗らないんじゃねえ・・・。アカマツの方がいいかなあ・・・・。
ちなみにここで使おうとしている塗料は、オイルステインといって、木材の表面を染色するように
、木目を活かした仕上になります。ペンキの様な塗潰しとは違います。

実は我々建築家1・2は「アカマツで行こう」と決めてたんですが、クライアント1の「ラワンの方って、クリアーっぽい色はどうなんですかねえ・・・。」と言う何気ない一言で、頭の中のイメージが逆転してしまった。
「クリアーかあ・・・。」
床材のサンプルの上に乗っけてみて、「いいねえ、いけるね。」
何もこげ茶と白に塗り分けることが答えでは無いんですね。
要は、ストーリー的には、プライベートゾーンとパブリックゾーンに色のコントラストが付けばいいんだということなんですね。
こげ茶とクリアーでラワン積層合板に決定。これが最高の決断と自負しています。

飲み会のコメントは建築家1さんよろしく。
クライアント1のコメント
前回、工事請負契約の際に、Book Houseの工事はこんな風に進みますよと見せられたのが「改修工事工程表」。

これまでの長い設計・見積りの格闘が30cmあまり、50日ほどで出来上がってしまうのかと嬉しくも少し寂しい気持ちで工程表を眺めていると、一番下に「行事」なんて項目がある。

これは何だと牛さんに尋ねると、戸建の場合は地鎮祭とか儀式関係があるらしい。リフォームには無縁ですね。

でも、折角なので行事らしいことを一つ位やりたいとわがままを言って、今回の「スケルトン見学会」なるものを発案しましたよ。

結果的には、僕たち施主夫婦のための見学会になりましたけど、築25年マンションの素っ裸の姿を見て、俄然やる気が湧いてくる、絶好の機会となりました。

あと、マンションにおける隣人関係の希薄さも痛感。興味ないんですね、皆さん。耐震偽装の話題が蔓延していることもあり、多少の反応を期待していましたが残念です。

ともあれ、まさにスケルトンとなった我が家ですけど、これまで図面などで想像していた間取りや質感とは大分違う印象でした。

・ 風呂場と収納を取っ払った妙に広い玄関スペース。それも薄暗い。
・ 壁は、クロスを剥がすと、なんとなくすべてコンクリートが出てくるものと思ってたけど、パネルだったり、タイルのボンドがこびりついていたり、均質ではないこと。
・ 電気やダクトの配線・配管がかっこよいような悪いような。予想以上の存在感。これらがすべて見える仕様なんだと考えると、気を使ってやってもらわねばならないなー。

写真でも分かりますけど、インターフォンが所在なげにぶら下がっていたりとか、これどんな風に処理されるのかなーとか、何がでてくるか分からないリフォームの醍醐味ですかね。楽しいです。

本棚。 これは、のっぺりとした集成材より素材感のある積層合板。色より雰囲気の勝ち。仕上げは牛さんがなんとかしてくれるはず。よろしくです。

飲み会話は、後日、追記します。
クライアント2のコメント
何かことがあるたびに使ってきたけれど。

いよいよ。ホントにいよいよである。

始まっちゃいましたですよ。工事が。

今更だけど、本当にきれいになくなっちゃうんですね。元の間取り。

玄関脇のお風呂にあった追い炊き装置が部屋の一番奥に移って本当に機能するのか←実際、点検のためにお風呂の構造はちょっと変わりましたが―などなど。既存のシステムに解体が及ぼす影響が心配ではありましたが、そこは抜かりなく詰めてくれているようで。

もう、ここまで来たら本当にまな板の上の鯉というか、お施主さんらしく腕組みでもして眺めてようかなみたいな気分でいたのだけれど、いや、まだまだ逆に検討のために腕組みしなくちゃならないことがたくさんあるもんです。

主役の本棚も、ここにきてまた素材をどうするか考えるとは思ってもみなかった。

もちろん、「設計の意図を汲みつつ、よりよくなるように提案もしてくれる」という評判通りのM建設のお仕事に「見積もり頑張ってよかった。工事請けてくれてよかった」とまずはうれしさひとしおなんですけど。

でも、私たち的にはやはり、積層合板の素材感というか「積層感」がすごく気に入っているので、ここは申し訳ないけどこのままラワン材でいくことにさせてもらいました。実はこれ、何でも強度が期待できる厚さの板がなかったため、N木工さんの匠の技で2枚をぴったり張り合わせて1枚にしているんだとか。そんなストーリーもまた好みなんだなー。

ただ、その手間をしてアカマツ集成材の提案がなされたという説もあり。。。こと主役の存在感に関わるだけに、ここはお許しを、です。
▲工事工程表。
詳細PDFはこちらへ>>>
▲解体状況(2006.04.24)
▲スケルトン見学会の様子(2006.04.29)
▲浴室変更プランについて打合せをする様子(2006.04.29)
▲本棚材料の検討
木材の塗り板サンプル。左から順にアカマツに白塗装、アカマツにこげ茶塗装、ラワンにこげ茶塗装で上部がクリアー。(2006.04.29)
▲飲み会の様子(2006.04.29)